HOME > 腎臓移植

 腎移植の歴史は古く、世界的には1954年に一卵性双生児間の腎移植成功報告が米国から出されています。1964年には日本初の腎移植が施行されており、東北大学病院では1965年に東北初の腎移植を施行しています。当時は心停止後の提供者(ドナー)からの腎移植(心停止腎移植)が主流でしたが、近年は世界的なドナー不足の影響もあり、健康なドナー(生体ドナー)から2つある腎臓のうちの片方を摘出しその近親者(提供を受ける方=レシピエント)に移植する生体腎移植が増えています。また1999年、脳死患者様からの臓器提供が日本でも始まり、日本初の脳死腎移植は東北大学病院で施行された歴史があります。
 2022年7月現在、東北大学病院では生体腎移植、献腎移植(心停止、脳死)合わせて149例の腎移植を施行しております。2018年から生体腎移植プログラムを再開し、当院での腎移植をご希望される方のご要望にお応えするための体制を整えており、患者様お1人お1人に細やかに対応することを目指しております。

 腎移植とは、慢性腎不全で透析が必要な状態の患者様の唯一の根治的治療法です。腎移植を受けることで透析から開放され、生活が安定します。また透析による血管合併症の進行を抑えることにより生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)を改善し、移植前よりも制限の少ない生活を送ることができます。

慢性腎不全の患者様は原則全て対象となりますが、以下の条件を満たすことが必要となります。

  1. 年齢は原則として70歳以下が望ましい
  2. 移植手術に耐えうる全身状態を保っていること
  3. 免疫抑制剤の内服・管理が御自身でできること
  4. 患者、家族が腎移植の内容に十分に理解し、移植後の協力体制が整っていること

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  1. 重要臓器に不可逆的な障害が存在する(骨髄疾患、肝疾患、筋・神経疾患など)。
  2. 悪性腫瘍
  3. 活動性の感染症がある。


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 臓器を提供したいという提供者(ドナー)から健康な腎臓を移植することをいいます。提供に関しては、自分の腎臓を提供したいと希望している近親者から移植される生体移植と、脳死ドナーから提供していただいた腎臓を移植する脳死移植、さらに心停止後のドナーから提供していただき移植する献腎移植があります。また元々ある腎臓を取り除くことはせず、新しく提供された腎臓はお腹の別の場所(下腹部骨盤内)に移植されます。

腎移植の手術としては、左右どちらかの下腹部に新しい腎臓を入れ、動脈と静脈をつなぎ合わせます。最後に尿を腎臓から流す管(尿管)を患者さん自身の膀胱につなぎ合わせます。



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1.移植件数と待機期間




献腎移植待機者数・待機日数 について
 2020 年 12 月で 347,671 人が透析療法を受けており、毎年増加していて、現在、国民 363.1 人に 1 人が透析患者となっています。透析患者のうち 13,163 人(2020 年 12 月 31 日現在)が献腎移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録を行っていま す。ただ、問題点は、提供者が少ないため献腎移植数が少なく、2020 年は待機者 13,163 人に対して 141 例の献腎移植が施行されたのみであり、また待機日数の長い高齢者の割合が多くなってきていることです。
 日本臓器移植ネットワークによると、2002 年 1 月〜2019 年 12 月までに献腎移植 を受けた方の平均待機日数は 5,388.7 日(14 年 9 か月)で 2020 年に献腎移植を受けた方の平均待機日数は 5,210.0 日(14.3 年)でした。そのうち 16 歳未満は 627.8 日(1.7 年)で、16 歳以上では 5,610.4 日(15.4 年)でした。これは 2001 年のレシピエ ント選択基準により 16 歳未満の小児が選択される可能性が高いことを示しています。なお、2019 年 11 月のレシピエント選択基準変更により臓器提供者が 20 歳未満の場合は、選択時に 20 歳未満である移植希望者を優先することになっているからです。


2.成績


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 東北大学病院では1965年に東北初の腎移植を施行し、1993年に日本初の脳死腎移植、2006年に東北初の脳死膵腎移植を施行するなど、主に献腎移植を行ってきました。また、当施設での腎移植を希望される患者様のニーズに応えるため2018年に生体腎移植プログラムを再開し、以後、年間5-10件程の生体腎移植を施行し、生体腎移植プログラム再開後、1年生着率・3年生着率ともに100%と安定した成績を維持しております。

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■病棟チームメンバー
戸子台和哲:外科専門医・指導医、消化器外科専門医・指導医、日本移植学会認定医、臨床腎移植学会認定医・評議員、
      組織移植認定医
藤尾 淳 :外科専門医・指導医、消化器外科専門医・指導医、日本移植学会認定医、日本臨床栄養代謝学会(JASPEN)認定医
宮澤 恒持:外科専門医・指導医、消化器外科専門医・指導医、日本移植学会認定医
佐々木健吾: 外科専門医、日本移植学会認定医
松村 宗幸: 外科専門医、消化器外科専門医、アメリカ移植学会認定肝臓腎臓膵臓小腸多臓器移植医
三頭 啓明: 外科専門医、消化器外科専門医

■スーパーバイザー
藤盛 啓成
後藤 昌史:移植再生医学分野教授、移植学会認定医、組織移植認定医

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 腎臓移植には健康で自発的な意志のある近親者の方(ドナー)が、2つある腎臓のうち片方を提供されて移植を行う生体腎移植とお亡くなりになられた方(心臓停止、脳死)から腎臓を提供されて行なう献腎移植があります。腎臓を提供されて、移植をうける方をレシピエントといいます。

<生体移植>



<献腎移植>
 献腎移植を希望する場合には、まず日本臓器移植ネットワークへの登録が必要になります。また提供者であるドナーとの適合性(相性)を調べるために、検査施設を受診しなければなりません。
 日本臓器移植ネットワークへの登録が完了してから移植までの平均待機期間は、約15年と長期になっています。

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<移植手術、手術後の費用>
 生体移植、献腎移植ともに、健康保険が適用されます。
 また移植手術や移植後の免疫抑制療法における医療費の自己負担の軽減を図ることができる制度として、障害者自立支援制度の自立支援医療(更正医療18歳以上、18歳未満は育成医療)を利用する事ができます。

<生体ドナーの費用>
 ドナーの移植可否に必要なスクリーニング検査、手術費用、入院中の治療費、手術後1年間までの診療・治療費に関しては、レシピエントの医療費保険と自立支援医療でまかなわれることになっているため、自己負担はありません。1年目を経過しての、診察・治療費はご自身の健康保険でお支払いただきます。
 また、医学的理由によりドナーとして不適格と判断された場合には、ご本人への請求になります。

<医療費以外にかかる費用>
 お亡くなりになられた方からの臓器提供による移植を希望する場合には、日本臓器移植ネットワークへの登録が必要になります。そのため、登録料や登録更新料、移植になった際には下記の費用を支払わなければなりません。下記の費用に関しては全額患者様の自己負担となります。

登録・更新に必要な費用 新規登録料 30,000円
更新料(1年毎に更新) 5,000円
組織適合性検査(HLA検査)・・・新規時のみ
※都道府県により異なりますが、宮城県の場合は右記となります。 
20,000円
移植時に必要な費用 コーディネート経費
100,000円
臓器搬送費・摘出医師派遣費 実費
血清搬送費 実費



   公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク
   http://www.jotnw.or.jp/

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 ■東北大学病院 臓器移植医療部
 〒980-8574
  仙台市青葉区星陵町1-1
  TEL:022-717-7702
(※電話対応は平日の9:00~17:00となります。
  また、出張などで対応しかねる場合もございます)

 ■レシピエント移植コーディネーター
  佐藤 則子(さとう のりこ)
 E-mail:


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